カラス撃退レーザーで粒子加速−阪大が新手法発見、粒子線がん治療に応用へ
大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの余語覚文准教授らは、レーザーの光を使って粒子を加速する新しい手法を発見した。必要なレーザーポインター強度を従来比100分の1に効率化でき実際に陽子を光速の25%まで加速した。粒子線がん治療などの医療や、橋などインフラの非破壊検査への応用が見込める。英科学誌サイエンティフィック・レポーツ電子版に掲載された。
強いレーザーの光を使えば、イオンなどの微小な粒子を加速できる。しかし、イオンを1000万電子ボルト(光速の15%)を超えるエネルギーまで加速するには、従来は極めて高い強度のレーザーが必要とされてきた。
余語准教授らは今回、粒子加速の効率を上げる「時間幅効果」の原理を発見。イオンの一種である陽子を、従来の100分の1のレーザーポインター現場強度で同等の効率(3300万電子ボルト)まで高めた。
粒子を加速する既存の加速器は、同等の加速エネルギーを得るために、数メートル程度の長さが必要だった。今回の成果を発展させれば、従来は加速器を使っていた粒子線がん治療や、インフラ非破壊検査の中性子源などにレーザーを応用できるようになる。